⑨「メッセージ」
- 梅原江史
- 6月18日
- 読了時間: 3分

まさかいまのいまになって沢田研二にハマるとは思っていませんでした。
沢田研二は僕が幼い頃から誰もが知る大スターです。
好きな曲もありましたが、それは時代を象徴する他のスターの方々も同じで、ジュリーだけが特別というわけではなかったのですが。
たまたま沢田研二が僕が暮らす街でコンサートをするという情報をきき、「生きているうちにジュリーを見られるなんて!」という思いで予約をしました。
近年のコンサートのセットリストをチェックし、サブスクで予習すると、往年のヒット曲ではない数々の名曲の存在を知りました。
きらびやかさや疾走感、曲によって放つ要素はどれも強烈でした。
大人になったいま、僕は改めて沢田研二という歌手の魅力の虜にされたのです。
コンサート当日を迎えました。
ジュリーを目撃することにまだまだ現実味を抱けません。
芸能人というか、スターってそういうのありませんか?
「実在するのか?」みたいな。
多くの人が想像するであろう昔のジュリーの風貌ではないことも知っていましたが、ステージにかっこいいおじいさんが現れました。
ジュリーです。
会場は歓声に沸きました。
もうこれだけで僕の当初の目的は果たされました。
ジュリーは実在しました。
そして、お茶目にステージを動き回るジュリーを見て、「なんて元気なおじいさんだ!」と驚きました。
往年のヒット曲も交えながらどんな客層も楽しめるセットリストだったと思う。
その中でも、沢田研二主演による「土を喰らう十二ヶ月」の主題歌「いつか君は」に僕は特別な感動をおぼえました。
おじいさんになったジュリーの風貌だけ見れば、ケンタッキーフライドチキンのカーネルおじさんみたいな感じです。
歌声だけはずっと変わらないんです。
この声で歌う「いつか君は」の歌詞が心に響くとき、生命の真理に触れてしまった気さえしました。
満足どころの話じゃない気持ちを抱えて終演を迎えました。
コンサートのMCで案内があったツアーファイナルの中継を見るためにWOWOWにも加入しました。
ジュリーの主演する映画もほぼ録画しました。
会場で購入した5枚組のベストアルバム「cocolonooto」は一生の宝物になると思う。
僕の趣味であるハードオフ巡りをするときもレコードの棚でいつもジュリーを探している。
夢中になれるものがどのタイミングでどのように訪れるのかは本当にわからないものです。
ジュリーが僕の人生をより素晴らしくしてくれました。
僕の風貌もどんどん変わってゆくだろう。
そのとき、僕の中の変わらないもの、それはどんなものなんだろう。
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