生まれ育ちは高知県の加茂という佐川町と日高村にまたがる地域です。
高校に入学するまで1学年1クラスという環境でした。
そんな田舎でしたので転校生はその誰もがキラキラと幼い僕の目には映ったものです。
漠然と抱いた「転校生になりたい」という夢を叶えられないまま、僕は大人になりました。
音楽をやるために上京した同世代の仲間は高知にもたくさんいました。
僕も池田さんもお互いに仕事を持ちながら、高知でMUSHA×KUSHAを始めました。
バンドを長く続けるイメージは全くなかった僕たちだけど、先輩から誘ってもらった渋谷CYCLONEでのイベントがMUSHA×KUSHAの運命を変えた。
SNSもなかった頃の東京のバンドマンの口コミに高知在住のバンドが急浮上した。
それがMUSHA×KUSHAだった。
都内でのイベントのオファーは途切れなく続き、誘われるライブは基本的に条件を問わずに出た。
いま考えると騙されやすい地方のどこにでもいるバンドみたいだ。
池田さんが「東京で美味しい蕎麦屋みつけた!富士そばっていう店ながやけど」と教えてくれた。
僕たちは都会で味わう非日常的な時間が何よりも心地よかった。
池田さんも僕も、お互いに当時の仕事を辞めてMUSHA×KUSHAの活動を中心におく生活に切りかえた。
SHACHIという仲間のバンドが地方にも僕たちのことを紹介してくれて、高知よりも県外で過ごす時間のほうが圧倒的に多くなり、僕たちの中での当たり前は逆転しました。
高知に数ヶ月振りに帰る度に「変わってないにゃ〜」とたった数ヶ月じゃ変わりようのない田舎の風景を懐かしく思った。
ライブハウス以外で過ごす時間は、正直しんどいことのほうが多かった。
未来へ一切の約束事を放棄したのがあの頃の僕たちだったから。
だけど、まるで転校生のような生活だった。
子供の頃に憧れた夢を僕はMUSHA×KUSHAで現実のものにしたのでした。
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